活用ポイント
システム導入で予約管理を自動化し、予約の事前確認の負担削減
スタッフ間で顧客情報を共有し、リピーターにもさらなる感動を提供
公式HPはあえて詳細を載せず、予約フォームへ誘導。ITを使って巧みにブランディング
LURRA゜(ルーラ)とは?
2019年夏に京都にオープンして以来、全国から多くのフ―ディーたちが訪れる「LURRA°(ルーラ)」。ミシュラン京都にも1つ星レストランとして掲載される最も注目すべきレストランの一つです。同店のコンセプトは、日本の文化を大切にしたコース料理と心地良い空間を提供し、ゲストに「楽しい」と感じてもらうこと。「食」をひとつのカルチャーとして捉え、食べることを通じて季節感や伝統、歴史やストーリーを五感で体感し、その感動を共有してほしいとの想いから、席数を絞り、一斉に食事をスタートさせるという手法を取っています。そのシステムを支えているのがTableCheckの「事前予約」や「みせばん」などの機能です。その活用法と導入後の効果について、共同オーナーの1人である宮下拓己さんに伺いました。
TableCheckは、LURRA˚の海馬。無駄を省き、顧客情報を正確に把握し幸せな時間を提供するために欠かせないもの。
ニュージーランドで出会った3人。日本文化を五感で味わうレストランを京都にオープン
ーはじめに、お店について教えてください。
宮下 “世界一のレストラン”といわれる「Noma」での勤務経験を持つシェフ・Jacob Kear(ジェイカブ・キア)と、ニュージーランドのレストラン「Clooney」にてバーマネージャーとして3ハット獲得に貢献した経験を持つ堺部雄介と私の3人が共同オーナーとしてスタートしたレストランです。私たちは、もともと「Clooney」でともに働いていた仲間です。
当店のメインは薪を使った調理で、ガスはまったく引いていないので使いません。コース料理10品にアルコール・ノンアルコールを選べる7杯のペアリングをベースに進んでいきます。二十四節気・七十二候など日本の暦や美学のなかでも、刹那的に流れる季節感を表現した料理を提供しています。食材は、シェフが大原・伏見など30分圏内の場所を毎日回り、実際に手に取って選んだ野菜をはじめとする日本の食材を集めて、窯で調理しています。
ーなぜニュ―ジーランドから日本へ戻ってお店をオープンされたのですか?
宮下 ニュージーランドで一緒に働いていたときに、みんなでお店を出そうということで候補に挙がったのが日本でした。それは3人のバックグラウンドが日本だったからです。日本には他に類を見ない独自の文化があり、食材や季節の豊かさ、食のレベルが高いと感じていました。新しいお店を出すという挑戦をする時に、やりたいことができるのが日本だと思ったんです。
ー日本のなかでも、京都を選んだのはなぜですか?
宮下 3人とも出身は京都ではないんです。でも京都の自然や文化の豊かさに惹かれました。お店を出すにあたり、「LURRA゜のためにその場所へ行く」という体験を作りたかったというのが京都を選んだ大きな理由です。東京のほうが入客は見込めたかもしれませんが、日々感じる季節感をより表現するならば、京都は理想的な街だなと思い、出店を決めました。
ー京都は街自体がブランドになっていますよね。オープンから約1年ですが、すでにリピーターも多いのではないですか?
宮下 金額的に3万円オーバーなので、1カ月に1回の頻度で来店するようなお店ではありませんが、半年~1年に1回来る方はいらっしゃいますし、最近(リピーターの方が)増えてきました。でも、帰り際の次回の予約はあえてお取りしていません。皆様フェアにTableCheckを使ってご予約いただいています。
予約はTableCheckからのみ。予約の自動化と顧客情報の共有でスタッフの作業負担を軽減
ーお店のオープンと同時にTableCheckを導入いただきましたが、どのように予約体制を構築されましたか?
宮下 以前勤めていたお店では他社の予約台帳を使っていて、電話でのリコンファーム(予約の事前確認)が大きな負担になっていました。当時から、その時間や作業には、得がないと感じていたんです。その後、東京のGris(現Sio)で働いていたときにTableCheckを知り、すぐに決めました。
TableCheckはクレジットカード情報を取得できるので、お客様に対しても私たちに対してもフェアというのが決め手でした。海外ではカード情報入力は一般的ですし、リコンファームの負担は大きいし、電話は「言った・言わない」という齟齬が生まれやすいですよね。予約システムは最初から導入しようと決めていました。
ー予約システムを導入しないという選択肢はなかったということですか?
宮下 そうです。紙台帳など別の方法もありますが、「時間をそこに割く必要があるのか?」と疑問に思っていました。これからの時代は、情報共有が大切。顧客情報などを全体に共有できるほうが良いと思っています。
ー事前にカード情報を入力しているので、無断キャンセルも少ないということですね。では、顧客情報の共有に関しては、どのように活用されていますか?
宮下 季節によってコース内容が変わるので、過去の来店履歴を確認することです。お客様によっては、左利きとか、花束を用意したとか、誕生日などを登録しています。お店がL字のカウンターなので、特に希望がなければ毎回違う席にお座りいただきたいと思っているのですが、それができるのは、過去のデータをパッと見て共有できるからです。スタッフ7名全員がTableCheckを見て確認しています。
予約管理やブランディングにITを活用し、唯一無二のレストランに
ーオープン当初より、IT活用、予約システムの導入を念頭に置かれていたとのことですが、周囲のお店、さらには日本の飲食業界全体ではシステム化が進んでいない現状について、どのようにお考えですか?
宮下 料理業界・飲食業界はITリテラシーやデザインに疎い人がまだまだ多いと感じています。ただ、世代が変われば、そこも変わってくるとも思います。私は今29歳(2020年10月取材当時)で、幼い頃からネットが当たり前で育った世代。予約や顧客の管理にITを活用することに抵抗や違和感はありません。
ーお客様側から、予約に関して柔軟にしてほしいというご意見はありますか?
宮下 そういったご意見もありますが、敢えて例外は作っていません。予約は、当日~2カ月後まで承っています。でもそれ以降はいつ休業するか分からないので、予約を受け付けていません。毎週日・月が休業で、それ以外に3カ月に一度、1週間の休業を取っているのですが、それができないのは嫌だなと。
ー休みをしっかり取るという考え方は、どこから来ているのですか?
宮下 クリエイティブがそこから生まれるという考え方です。「日本の産地に行って生産者に会いたい」「器なども実際に人に会って選びたい」というのがリアルな思いです。クリエーションに関しても、ずっと営業しながらは難しいなと。そこはあえて時間を分けて、1週間休んでリラックスしながらが良いと考えています。インプットを大事にしています。
ーTableCheckは事前にカード情報が取得できることと、予約のリコンファームをしなくて良いという2つが、選んだメインの理由とのことですが、その他に「みせばん」*機能もお使いいただいているそうですね。
宮下 そうです。16時以降~営業中は店の電話の音量をゼロにして、鳴っても出ないようにしています。営業中に電話がかかってきたのも分からないので、「みせばん」が役に立っています。
*「みせばん」……当社が特許を取得する電話自動応答機能。繁忙時間帯や定休日で出られない電話に自動で応答。プッシュトーンによる即時予約や、ショートメールで予約ページリンクを送るなどで、予約の取りこぼし防止をサポート。
ーSNSやWEBサイトの活用に関して、お店でのルールはありますか?
宮下 SNSはスタッフが各々投稿していますが、細かいルールは決めていません。店のHPは基本的にシンプルにして、そこには想いを書きすぎないようにして、あえてレストランっぽくないサイトにしています。HPとは別に、noteでLURRA゜のストーリーが読めるようにしています。そういった運用は私がすべて担当しています。
ブランディングを意識して、一次情報であるHPは詳細があえて出すぎないようにして、そこから他の媒体に派生して情報を探してもらうような仕掛けです。料理の写真はInstagramには出ていますが、HPには1枚も載せていません。コースの金額もTableCheckに遷移して初めて表示されます。
電話は「言った・言わない」が多いため、電話での予約は受け付けていません。なので、最終的にはTableCheckで予約いただくことになります。システムとしてすっきりしていて良いなと思っています。
ーありがとうございます。最後に、LURRA°にとってTableCheckとはどんな存在ですか?
宮下 LURRA˚の海馬、ですね。無駄を省き、顧客情報を正確に把握し、幸せな時間を提供するために欠かせないもの。それが「TableCheck」です。
(取材:2020年10月7日)
<店舗情報>
■店舗名:LURRA゜(ルーラ)
■住所:京都府京都市東山区石泉院町396
■ジャンル:イノベーティブ、フュージョン、薪料理
■店舗ホームページ:https://lurrakyoto.com/
■予約ページ:https://www.tablecheck.com/ja/shops/lurra/reserve
■note公式ブログ:https://note.com/lurrataku