TableCheck Author
2022年12月9日 · 読了時間:4 分
今回は、新しく飲食店をはじめたい方向けに飲食店開業までに必要な手続きや資金などを【準備編】としてまとめました。開業までには6ヶ月〜1年程度の期間がかかるため、それぞれの準備に余裕を持って取り組みましょう。この記事では、飲食店開業までの流れや準備のポイントなどを解説しています。飲食店の開業を考えている方はぜひ参考にしてください。f
飲食店の開業準備には、6ヶ月〜1年程度の期間がかかります。コンセプト設計から物件探し、内装工事や必要備品の準備など、オープンまでにやるべきことは多数あります。
規模や業態によって必要な準備は異なりますが、最短で6ヶ月、余裕を持って進めたいのならば1年前から着手するといいでしょう。
飲食店の開業準備について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
開業6ヶ月〜1年前は、以下の準備を進めましょう。
コンセプト作り
事業計画書の作成
店舗物件探しと内装工事
特に、コンセプト作りは店舗の方向性を決める重要なファーストステップです。余裕をもったスケジュールで、しっかり時間をかけて企画を練り、固めていきましょう。以下では、開業6ヶ月〜1年前に取り組むべき準備について、それぞれ詳しく解説します。
飲食店の開業準備にあたって、まずはじめに取り組む必要があるのがコンセプト作りです。業種や業態、ターゲットの年齢層や属性、店舗の強みなど、飲食店を運営するうえで基礎となるコンセプトを具体的に設計します。
コンセプト作りが曖昧では、メニュー決めや価格設定、内装デザインなどの際に迷いが生じてしまうリスクが高いです。競合との差別化を図るためにも、コンセプトは入念に検討しましょう。
店舗のコンセプトを決めたら、事業計画書を作成します。事業計画書とは、事業内容や収支計画をまとめた書類のことで、ビジネスモデルや今後の見通しを整理するために重要です。さらに、金融機関から融資を受ける際や法人口座を開設する際に提出を求められることもあります。また、開業後の進捗確認や意思決定の際にも活用できるため、必ず作成しましょう。
事業計画書では、以下のような細かい事項まで策定します。
コンセプト
事業内容
運営方法
経営戦略
収支計画(資金繰りに関する計画、利益見込みなど)
店舗物件探しや内装工事は、飲食店の立地や雰囲気を左右する重要なステップです。余裕を持って取り組めるよう、コンセプト設計や事業計画書の策定が終わった段階で早めに着手しましょう。
飲食店用の物件契約は、通常の賃貸契約と同様に以下の流れで行います。
内見
申し込み、審査
契約
店舗用物件には以下の3つの種類があり、ターゲットや予算に合わせて選ぶことが重要です。
路面店舗:通りに面しており、通りから入れる店舗
地下店舗:地下にある店舗
空中店舗:ビルの2階以上にある店舗
なかには「飲食店不可」と定められている物件もあるため、必ず飲食店が運営できるかどうかを確認しましょう。
また、物件探しと並行して施工会社を選定することがおすすめです。内見時に業者に同席してもらうことで、希望の工事が行えるかどうかを確認したうえで物件を選定できます。
物件が確定した後、施工会社に依頼して内装工事を行いましょう。内装工事の流れは以下のとおりです。
プランニング・基本設計
見積もり
契約・着工
希望どおりの工事を行うためには、特にプランニングと基本設計が重要です。打ち合わせの際には希望のイメージだけではなく、ターゲットや店舗の強みなどを伝えましょう。双方に認識の齟齬が生まれないよう、複数回打ち合わせを重ねて緻密にすり合わせていきましょう。
プランニングと基本設計が固まった後は、見積もりを算出してもらいます。計算基準は、1坪あたりにかかる工事費用である「坪単価」です。坪単価に坪数をかけた費用に加え、電気やガス、水道などの設備費用がかかります。
見積もりに問題なければ、契約して工事を進めましょう。着工後は、施工業者に丸投げするのではなく、こまめに現地を訪れて進捗確認を行ってください。
開業2〜3ヶ月前に取り組むべき準備は、以下のとおりです。
厨房・外観作りと各種設計
メニュー作り
コンセプトをもとに、厨房や店舗の外観などの各種設計やメニュー作りを行います。どちらも集客のうえで非常に重要です。ほかの店舗のデザインやメニューも参考にしつつ、慎重に検討しましょう。以下では、それぞれの準備項目について詳しく解説します。
飲食店の開業にあたっては、厨房や店舗の外観作りも重要です。コンセプトに沿ったデザインを検討しましょう。デザインを決める際には、イメージに近いほかの店舗の写真やイラストを用意して、業者やデザイナーとの間に認識の齟齬が生まれないようにしてください。
特に飲食店の場合は、使い勝手の良い厨房設計が求められます。前のテナントの設備を利用できる居抜き物件の場合には、既存の厨房設備を利用できることが多いでしょう。一方、スケルトン物件の場合は1から設計を行わなければなりません。
飲食店で必要な厨房設備は、以下のとおりです。
ガステーブル
シンク
調理台
業務用冷蔵庫
製氷機
特にシンクは、食品関係営業許可の基準をクリアしているものを選ぶ必要があります。
メニュー作りは、比較的早い時期から取り組みましょう。これは提供するメニューによって、必要な設備や備品が変わるためです。例えばカフェを開業する場合、ドリンクだけではなくフードメニューも提供するのならば、厨房設備を整える必要があります。ドリンク専門店であれば、種類に応じた専用の機器を揃えるべきでしょう。
メニュー作りは、コンセプトや周囲にある他店の動向をもとに行いましょう。コンセプトに沿ってターゲットに響くようなメニューを考案することはもちろん、利益が出るメニューや価格設定にすることも重要です。また、周囲のほかの飲食店と差別化できるよう、オリジナリティのあるメニューを検討しましょう。
メニューの数は、多ければ良いというわけではありません。メニューが多すぎるとコンセプトからはずれたり、原価率の悪化や廃棄が生じたりするリスクを抱えてしまいます。店舗のコンセプトに沿ったメニューに絞るという視点を忘れないようにしましょう。
開業2ヶ月〜2週間前は、以下の準備を進めましょう。
集客方法の検討・販促ツール作成
仕入れ業者契約
従業員の採用
備品準備
開業手続き・事務手続き
特に、開業手続きや事務手続きでは、飲食店開業にあたって必要な資格の取得や届出を行います。規模や業態などによって必要な資格や届出が異なるため、入念に確認したうえで余裕を持って進めましょう。
開業2ヶ月ほど前から、集客方法や販促ツールについて検討しましょう。
集客方法を考える際に理解しておきたいのが、「カスタマージャーニー」という概念です。「カスタマージャーニー」とは、お客様がお店の存在を知ってからリピーターになるまでの流れのことで、具体的に以下のステップを指します。
認知
理解
比較検討
購入
拡散
リピート
それぞれのステップにおいて、効果的な集客や販促ツールが存在します。例えば、認知のためのツールならば、SNSやGoogleビジネスプロフィール、広告、サイネージ、PRによるメディア露出などが有効です。さらにお店のことをもっとよく知ってもらうためには、これらに加えて公式ホームページの開設が必要です。そこからさらにリピーターになってもらうためには、新メニューの告知やクーポンを配布できるメールマガジン、SNS、あるいは公式アプリやLINEなどの顧客管理ツールがおすすめです。このように、カスタマージャーニーに基づいて、集客や販促のツールを検討しつつ準備しましょう。
飲食店においては、食材の仕入れ業者の選定も重要です。質の高いメニューを提供するためには、おいしくて鮮度の高い食材を長期的かつ安定的に供給してくれる仕入れ業者と契約する必要があります。
仕入れ業者は、以下の3つの観点から選定しましょう。
食材の種類
仕入れ価格
配送方法・期間
まずは、お店のコンセプトやメニューに合わせて必要な食材を整理し、それらを安定的に仕入れられる業者を選びます。このとき、仕入れ価格のバランスも重要です。原価の目安は、販売価格の20〜35%前後といわれています。料理のクオリティを担保しながら、ある程度の利益を確保できる価格で食材を仕入れられる業者を選びましょう。さらに、配送方法や期間も確認し、仕入れ量の変化があっても柔軟に対応できる業者と契約することも重要です。
飲食店を運営するにあたって必要な従業員を採用します。SNSやチラシ、求人サイトなどを活用してスタッフを確保しましょう。オープン前に研修を行うためには、余裕のあるスケジュールで採用を進めることが重要です。しかし、採用が早すぎると辞退されてしまうことがあるため、オープン1ヶ月前を目安に採用活動を行いましょう。
飲食店では、以下のとおりさまざまな備品が必要です。厨房で必要な備品と客席で必要な備品に分け、種類や個数をリストアップしましょう。
<厨房で使用する備品>
包丁やまな板、鍋などの調理器具
オーブンや電子レンジなどの電化製品
ラップやタッパーなどの保存用品
洗剤やゴミ袋などの衛生用品
<客席で使用する備品>
机・椅子
食器・箸
調味料入れやコースターなどの卓上用品
トイレットペーパーや石鹸などのトイレ用品
その他事務用品
一通り必要な準備が完了したならば、開業手続きや資格取得、届出の手続きを行いましょう。必要な資格や届出は、店舗の業態や規模などによって異なります。
飲食店では、「食品衛生責任者」を1名以上配置することが必須です。規模が30人以上の店舗には、「防火管理者」の設置も義務付けられています。調理師免許の取得は必須ではありませんが、取得しておいて損はありません。
また、行政への届出も必要です。以下を参考に、届出を行いましょう。
営業許可申請:全ての飲食店が対象
防火対象物使用開始届:全ての飲食店が対象
深夜酒類提供飲食店営業届:深夜0時以降に酒類を提供する飲食店が対象
個人事業の開廃業等届出書:個人事業主として開業する場合が対象
そのほか、業種や業態によって必要な届出が異なるため、忘れずに届出を行いましょう。
参考:東京都福祉保健局「公衆衛生上必要な措置」
参考:e-Gov「消防法」
参考:東京消防庁「防火管理者が必要な防火対象物と資格」
参考:東京都福祉保健局「改正食品衛生法の営業許可と届出(令和3年6月1日から施行)」
参考:高知県警察「深夜における酒類提供飲食店営業届出の手引き」
参考:国税庁「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
開業2週間前は、以下の準備を進めましょう。
ロールプレイング
チラシ配りやポスティング
開業の2週間前には、必要な設備や備品の準備とスタッフの採用が完了している状況が望ましいです。ロールプレイングやチラシ配りなどを行い、オープンに向けて最終準備を整えましょう。以下では、オープン直前に取り組むべき内容について解説します。
オープンの2週間ほど前から、スタッフの教育に取り組みましょう。現場で発生しうるさまざまな状況を想定して、ロールプレイングを実施することがおすすめです。ロールプレイングとは、状況ごとに応じた役割を演じてトレーニングを行うことです。
飲食店のロールプレイングでは、スタッフ役とお客様役をスタッフ間で交互に演じ合い、接客スキルの向上を目指します。ロールプレイングを通じて接客時の注意点や求められる水準を整理し、実際の接客に活かしましょう。
オープンに必要な各種準備が整ったならば、いよいよ店舗の宣伝を行います。チラシ配りやポスティングで周囲に告知するほか、WebサイトやSNSアカウントを作って積極的に発信することも有効です。店舗のターゲットや出店エリアに合わせて、効果的な宣伝方法を選択しましょう。リーフレットやショップカードなどを作ることもおすすめです。
今回は、飲食店の開業に必要な準備について解説しました。コンセプト設計から内装・外装工事、スタッフ採用、宣伝まで、飲食店を開業するためにはさまざまな準備が必要です。オープンの日取りが決まれば、予約受付開始までに予約管理システムを導入しましょう。顧客データを蓄積し、精度の高いマーケティングを可能にし、より多くのリピーター獲得におすすめです。
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