望月 実香子
2022年3月15日 · 読了時間:4 分
新型コロナウイルスの感染拡大によって、飲食業界は厳しい状況に追い込まれています。今後は、IT技術を活用して、業務効率化しながら、より満足度の高い食体験を提供することが求められるようになるでしょう。今知っておきたい飲食業界のDXについて、そのメリットや具体的な方法をご紹介します。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、外食産業にもさまざまな変化が起きています。人々が集まって食事する機会が減ってしまったのをきっかけに、デリバリーサービスやテイクアウト、オンラインショップを準備する飲食店も増えてきました。
コロナ禍で飲食業界が置かれている現状と、求められているDX化(デジタル技術の活用)の流れについて詳しく解説します。
コロナ禍で経営難に陥る店舗が増加
感染症対策として、密を避ける行動が人々に求められるようになった状況下で、飛沫感染が危惧される食事の場は大きな制限を受けることとなりました。
特に飲食店の経営を支えていた、大人数の宴会や飲み会が規制されることにより、歓送迎会や年末などの繁忙期の売上に頼ることが難しくなっています。
厳しい状況においても勝ち抜いていくには、綿密な戦略を立てて飲食店経営をする必要があります。
顧客ニーズに応じたDX化が要求される
2021年6月にリクルートが実施した「飲食店経営者のDXに対する興味・関心と導入状況の実態調査」によると、既にデジタルツールを1つ以上導入していると回答した飲食店経営者は62.3%でした。
最も導入率が高いデジタルツールは、キャッシュレス決済で43.9%を占めています。
コロナ禍期間に、新たにDXに興味・関心を持った人は14.3%と、飲食店を取り巻く環境の変化に対応しようとする姿勢が見受けられました。今後も売上や顧客満足度の向上につながるDXは、飲食店経営の重要なポイントとなっていくでしょう。
参照:ホットペッパーグルメ外食総研ー「飲食店経営者のDXに対する興味・関心と導入状況の実態調査」
飲食店におけるDX化の意味
DX化とはデジタル・トランスフォーメーションの略で、一般的にはデジタル技術を活用して環境をより良くしていく取り組みを指します。
キャッシュレス制度の導入やネット予約システムの完備をするだけでは、単なるIT化の域から抜け出せません。
飲食店におけるDX化とは、デジタル技術を導入し上手く活用することで、サービス、マーケティング、業務などを自動化、最適化することで、利益を最大化することが最終的なゴールです。
飲食店がDXを進めることで得られるメリットは、顧客満足度の向上のほかに、次の4つの点でも飲食店側に大きなメリットがあります。
業務効率化とコスト削減
集客力強化
データ活用
コミュニケーション円滑化
一見DX化とは無関係に思えるところでも、その効果が実感できるはずです。4つのメリットについて詳しくご紹介していきます。
1.業務効率化とコスト削減
IT技術を上手く日々の業務に取り入れることで、それまでかかっていた時間や労力を削減できます。
例えば、在庫整理や発注作業、お店の締め作業に労力を割く必要がなくなり、同時に作業に伴い発生する可能性があったミスを減らすことにもつながります。
DX化により業務時間と労働負担が軽減すれば、人件費を削減できるだけではなく、より質の高いサービスや経営戦略に注力できる余裕が生まれるでしょう。
ネット予約の活用で予約管理の効率化を実現!繁忙期の配席作業時間が5時間→30分に大幅短縮!
2.集客力が強化できる
飲食店DX化のメリット2つ目は、集客力の強化につながる点です。DX化は顧客のニーズ達成を目標としているため、DX化を上手く進めることで、他の店舗と比較した時に差別化できるサービスを提供できるようになります。
DX化によって新たに開設した販売チャネルを使って得たデータを、更なるマーケティング戦略を立てる材料にすることも可能です。
3.データ活用ができる
飲食店のDX化を進めると、収集できるデータの幅が大きく広がるのもメリットです。例えば、顧客属性や基本情報のほかに、下記のような顧客情報を集めることも可能になります。
注文履歴
滞在時間
来店用途
来店回数
来店頻度
利用金額や平均単価
その他メモ
集めたデータはその顧客個人に合わせたサービスを提供するために役立てることができます。例えば、「テーブルチェック」の顧客台帳で特定の顧客情報を抽出すれば、ワイン好きなお客さま向けのイベントや、誕生日月のお客さまへの特別プランなどを個別に通知することもできます。
4.コミュニケーションが円滑化する
最後にご紹介する飲食店DX化のメリットは、店舗を取り巻くコミュニケーションの円滑化です。
コミュニケーションには2種類あり、1つ目が従業員同士のコミュニケーション、2つ目が顧客とのコミュニケーションです。
連絡や報告の場をオンラインで確保することで、スタッフ同士の情報共有がスムーズに行え、予約・顧客に関する情報伝達ミスによるトラブルも減らせるでしょう。
店舗が開設したSNSやブログのコメント機能を使えば、顧客との双方向のコミュニケーションが可能になります。普段は聞けない貴重なユーザーニーズを把握できるきっかけになるので、ぜひ活用してみましょう。
では、実際に飲食店のDXを進めるには、どんな方法があるのかを確認していきましょう。今回ご紹介する3つの手段は以下のとおりです。
オンライン予約システムの導入
拡散性の高いSNSの活用
テイクアウトやデリバリーサービスへの対応
まだDX化を充分に実施できていない店舗でも、具体的な方法を知れば自分の店舗に合った方法を見つけられるはずです。
オンライン予約システムの導入
オンライン予約システムは、今や顧客ニーズに応えるには欠かせないツールです。
2021年に実施されたMMD研究所の調査において、スマホでのネット予約の経験がある人の割合は69.1%、予約したことのある施設をジャンル別にみると飲食店が1位という結果が出ています。
「テーブルチェック」が提供するユーザー向け飲食店予約サービスなら、ユーザーは、24時間いつでも飲食店を空席ベースで検索し、予約することができます。
飲食店側でも管理画面から、予約情報の管理や予約時に収集した顧客データをマーケティングに活用することも可能です。
ツールごとの特徴を比較しながら、お店に合ったツールを選びましょう。
参照:MMD研究所ー「スマートフォンでのネット予約に関する調査」
拡散性の高いSNSの活用
急な営業時間の変更や旬のメニューの紹介などは、リアルタイムに発信できるSNSの活用が有効です。
SNSは拡散性が高く、ターゲットとしたいユーザーの関心あるコンテンツを発信できれば、急速に知名度を上げることができるツールでもあります。
SNSごとのユーザー層をお店のターゲット層と比較しながら、より効果を出しやすいツールを選択するようにしましょう。
(Twitter活用記事リンク)
テイクアウトやデリバリーサービスへの対応
かつて飲食店といえば店内での飲食が当たり前で、その他のサービス方法を準備していない店舗が大半でした。
現在では、顧客ニーズに合わせてテイクアウトやデリバリーサービスを提供している店舗が増加しています。
飲食店側では、デリバリーやEC販売、テイクアウトなどの提供方法を増やすと、その分、業務が複雑化してしまうのではと心配している方もいらっしゃるでしょう。
そこで、デジタルツールを上手く活用できれば、サービスの選択肢を増やすことで顧客満足を達成しつつ、働く側の負担も軽減できます。
各方面でのDX化が進む中でも、特に飲食におけるDX化は難しいと考えられていました。
なぜなら、人対人のおもてなしが求められる外食サービスでは、デジタル化することでサービスの質が下がってしまうとの考え方が有力だったからです。
しかし、現在ではDXを進めることで、顧客により満足度の高い食体験をしてもらえる店舗づくりが求められています。
飲食業界のDX化と、これからを生き抜く店舗の秘訣をご紹介します。
DXの推進は顧客満足度を上げて、利益を最大化する第一歩
アナログだからこそ、レベルの高いおもてなしが可能であるという考えが主流であったため、飲食店業界のDX化はなかなか進みませんでした。
実際にユーザーの立場に立って考えると、ネットでいつでも予約を完了できたり、自宅まで食事を届けてくれるデリバリーサービスに対応していたりなど、食体験の幅を広げ、飲食店との接点を増やすことになります。
お店側も、デジタルツールの利用で効率が上がれば、料理やサービスといったクリエイティブな業務に集中できるようになります。
飲食店のDX化は、利用者のニーズを満たしながら、飲食店にとっても業務効率化をしながら、利益率を高めていく手段であるといえます。
今後は顧客中心の店舗づくりが必須
これまでの店選びは、主に立地やメニュー、価格、空間などお店側の要素が重視されていました。
しかし、利用者が簡単に情報に触れることができるようになった現代では、比較された上で選ばれるお店作りが欠かせません。
お客さまが求めるニーズを拾い上げ、それぞれに合った食事やサービスを提供する、よりパーソナライズされた店舗づくりをする必要があります。
その一環として、今回ご紹介したDX化は無視できない要素となるでしょう。
飲食店のDX化とは、デジタル技術を導入して、業務効率化でコストを圧縮しながら、顧客満足度を高め、利益を最大化していく取り組みを指します。
コロナ禍で外食産業に大きな変化が起きている中で、いかに顧客ニーズを満たせる食体験を提供できるかが、今後のお店の生き残りを左右するでしょう。
飲食店のDXを進めることは、顧客だけではなく店舗側の負担を軽減する役目も果たします。お店の状況を見極めたうえで、管理ツールの導入やSNSの活用、デリバリーサービスの提供など、取り組めるところからDXを進めることが大切です。
DX化による顧客を満足させるサービスが、ひいては店舗の売り上げ拡大につながります。
望月 実香子
時事通信社社会部記者、出版社勤務などを経て、フリーランスPRへ。主に都内のレストランのPRに携わる。 レストランでのイベント企画・運営や、年間100以上のメディア掲載を獲得するなど経験を積む。2019年TableCheckにPRとして参画。美味しいものが世界平和をつくると信じるレストラン大好き食いしん坊。
TableCheckでお店の予約顧客管理に革新を。まずはお気軽にご相談ください。