TableCheck Author
2022年1月25日 · 読了時間:5 分
近年、飲食店の集客マーケティングの手法は進化し、そのために様々なプラットフォームが登場しています。競合が多い市場だからこそ、いかに集客力を上げていくかは、飲食店の永遠の課題。本記事では、飲食店が集客マーケティングで意識すべき点や実際に集客力アップにつながる方法4選を紹介します。
集客とは、自社のサービスにお客さまを集める施策のことを意味します。飲食店の場合、お店にお客様を集める施策全般を指します。
集客の対象となるのは、主に以下の4種類です。
自社サービスを認識していない「未認知顧客」
すでにサービスを認識するも関心を持っていない「認知顧客」
自社サービスの利用を検討中の「見込み顧客」
利用履歴はあるもリピーターにはならなかった「休眠顧客」
また、集客には新聞や雑誌などの紙媒体、テレビCM、SNSやウェブ広告、対面での営業などの方法があります。
集客について、さらに詳しく確認していきましょう。
・集客はマーケティングのひとつに位置付けられる
「集客」と混同されやすい言葉が「マーケティング」です。
出典:公益社団法人 日本マーケティング協会「日本マーケティング協会の概要」
日本マーケティング協会では、マーケティングを「企業およびほかの組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」と定義しています。また、お客さまのニーズを把握してサービスを提供することで利益を得る活動ととらえることも可能です。
ターゲットを絞り、お客さまを効果的に店に集める「集客」は、マーケティングのひとつに位置付けられています。
・消費者心理を理解してより深く集客を理解する
マーケティングや集客を理解するには、お客さまのニーズを汲み取ることが大切です。そこで、まず消費者心理について簡単に解説します。
ネットにおける消費者心理プロセスを理解しやすいのが、電通が提唱し、商標登録されている「AISAS(アイサス)」です。AISASはAttention(注意)、 Interest(興味)、 Search(調査)、 Action(行動)、 Share(共有)の頭文字で構成されています。
AISASの流れは以下のとおりです。
お客さまが商品やサービスを知る(Attention)
対象の商品やサービスに興味を持つ(Interest)
商品やサービスを検索する(Search)
実際に購入する(Action)
周囲に知らせる(Share)
検索時に対象の飲食店が引っ掛からない場合は、実際の購入(自店への来店)につながりません。他方で、利用後にSNSなどで周囲に知らせてもらえれば、今後の来店客増が期待できます。
集客する上で、SearchとShareをいかに押さえるかが大切です。
飲食店が集客を進める際には、人手不足などの課題が立ちはだかります。帝国データバンクの2021年10月調査によると、居酒屋など飲食店の6割以上でアルバイトやパートが不足しているとのことです。
そのほかに、「デリバリーサービスの普及」や「消費者スタイルの変化」といった課題が挙げられます。それぞれを確認していきましょう。
出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2021年10月)」
1. デリバリーサービスの普及
日本では「出前」というサービスが以前から存在しましたが、今ではデリバリーサービスの普及に伴い、消費者はより多様な選択肢から好きな食べ物を注文できます。株式会社クロス・マーケティングが2020年11月に実施した「食品宅配サービス・フードデリバリーに関する調査」によると、フードデリバリーを利用したことがある人は約4割でした。
出典:株式会社クロス・マーケティング「食品宅配サービス・フードデリバリーに関する調査」
今後も外食をせずに、家で好きな店の料理を注文する人が増えることが予想されます。集客には、デリバリーサービスの導入可能性も検討していかなければなりません。
2. 消費者のスタイルの変化
新型コロナウイルスの流行に伴う外出自粛やテレワーク実施により、上記デリバリーサービスの利用や自宅での料理など「巣ごもり消費」が高まりました。アフターコロナにおいても、働き方改革や生活スタイルの多様化で飲み会の機会が減少することも予想されます。
これからは、消費者スタイルの変化に対応した集客を心がけていかなければなりません。
効果的な集客手法は、規模や業態によっても異なるため、自社にあった方法で進めることが大切です。また、飲食店が集客を成功させるために、いくつか意識しておきたいことがあります。
まずは「STP分析などのマーケティング手法を理解する」、「飲食店集客のポイントを把握しておく」、「目的や業態にあわせて販促手段を考える」の3点を確認しておきましょう。
1. STP分析などのマーケティング手法を理解する
集客はマーケティングのひとつであり、STP分析などのマーケティング手法をいくつか把握しておくことが大切です。STP分析は、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)で構成されるフレームワークを指します。
「セグメンテーション」とは、市場細分化のことです。セグメンテーションでは、年齢や性別などさまざまな指標を用いて市場を分類していきます。
「ターゲティング」とは、セグメンテーションで分類した市場の中から自社が狙うべき市場を絞り込むことです。
ターゲティングに使う手法には、市場間の違いを気にしない「無差別型マーケティング」やターゲットとする複数の市場に適したサービスを提供する「差別型マーケティング」、特定の市場のみに特化していく「集中型マーケティング」があります。
「ポジショニング」とは、定めたセグメントの中で自社と競合するサービスをチェックして自社や提供するサービスの立ち位置を決定することです。
2. 飲食店集客のポイントを把握しておく
飲食店集客で必要な基本ポイントを把握しておくことも大切です。ここでは、ショルダーネーム、ベンチマークについて説明します。
まず、飲食店でよく用いられる「ショルダーネーム」とは肩書きのことです。屋号だけでは伝えきれない内容をショルダーネームで補うと、お客さまは看板を見ただけでどんな店かを把握できます。
例えば、店主の名前から取った「すずき」という店名だけだと、どんなお店かわかりません。しかし、「海鮮居酒屋 すずき」とショルダーネームをつけるだけで、海鮮料理や日本酒を味わいたいお客さまの目を惹きます。
指標や基準という意味を持つ「ベンチマーク」とは、他店と自店を比較して状況を改善する作業です。他店の口コミや評判を聞くことで、自店の改善につながります。
3. 目的や業態にあわせて販促手段を考える
自店の業態やコンセプトにあわせて販促手段を考えていきます。特に、コンセプトはブランドイメージを確立し、他店との差別化を図る上で重要です。「ターゲットとする顧客層」や「提供するサービス」、「自店にどのようなイメージを持ってもらうか」などを考慮してコンセプトを決めておきましょう。
また、新規顧客獲得を目的にするのか、リピーター増加を目的にするのかによっても対策が異なります。新規顧客獲得は、SNSやグルメサイトへ掲載して幅広く進めることが有効なのに対し、リピーター増加にはDMなどで個々のお客さまに再来店を促すことが効果的です。
集客やマーケティングを理解できたら、実際に行動に移していきましょう。ここからは、飲食店が具体的に集客力を上げる方法とそのメリットを紹介します。
SNSを活用する
ウェブ広告や自社ホームページを活用する
デジタル以外の媒体も積極的に利用する
イベントを開催する
以上の4つを確認していきましょう。
1.SNSを活用
SNS上の情報は、パーソナライズ化されているため、ユーザーに興味のある情報が表示されやすくなっています。そのため、SNSで集客を図ることで、既存顧客と属性の近い潜在顧客にお店の魅力を伝えることができます。また、拡散性が高い点もSNSを活用するメリットです。
効果的なSNSとして、InstagramやTwitter、Facebook、LINE、TikTokが挙げられます。TikTokが若年層に訴えかけやすいのに対し、LINEは幅広い層にアピールできるなど、各SNSの特性を把握したうえで、使い分けることが大切です。
なお、SNSでの炎上は集客に逆効果となるため十分な注意を払いましょう。
◆イベントレポート:飲食店のためのIT講座その②|インスタグラム活用実践編
◆TableCheckブログ:インスタ集客で1800組予約獲得した「鮨てんび」仕掛け人に聞く。飲食店のSNS活用術
2.ウェブ広告や自社ホームページを活用
ウェブ広告は、ネット上に広告を掲載する方法です。SNSと同様に潜在顧客に対してアピールできる点や、地域を絞って効果的に宣伝できる点がメリットとして挙げられます。
主なウェブ広告に、グルメサイトが挙げられます。月額固定の掲載料を支払えば、金額に応じてグルメサイト内で上位表示されるなど、複数のプランが用意されています。他にもGoogleのウェブ広告やグルメ系メディアへの広告出稿などの方法もあります。
また、自社ホームページ(=オウンドメディア)を活用した集客は、宣伝費がかからない点やオリジナルデザインでほかのメディアとの差別化を図れる点がメリットです。ただし、自店の知名度が低い場合はあまり有効ではありません。
3.デジタル以外の媒体も積極的に利用
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2021年10月の4媒体(新聞、テレビ、雑誌、ラジオ)の広告費用が約1,491億円であるのに対し、ネット広告は単体で約1,120億円でした。約1,180億円のテレビ広告を除き、オールドメディアはすでにネット広告に広告費用面で圧倒的な差をつけられています。
出典:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査ー3.広告業」
しかし、オールドメディアが集客に効果がないわけではありません。新聞折り込みやポスティングは高齢者層へのアピールに有効であり、テレビCMは今も話題性が十分です。
4.イベントを開催
新規顧客層の獲得には、イベント開催も有効です。集客イベントを開催する際には、SNSを活用して幅広く宣伝しましょう。
集客イベントが思いつかない場合は、話題性のある人や企業とコラボすることも有効です。飲食店にこだわらずに近隣の店とコラボし、一方のレシートを持っているお客さまには割引などといった方法があります。
一例として、スポーツの地元チームのファンの交流の場とすることもおすすめです。
ここまで集客で意識しておくことや集客力を上げる具体的な方法を紹介してきましたが、実際に行動に移す際にはいくつか注意しておきたいことがあります。
具体的には
デジタルかアナログ一方に偏りすぎない
ターゲットを広げすぎない
一時的な集客で終わらせない
といった3点です。
注意点を詳しく解説していきます。
1.デジタルかアナログ一方に偏りすぎない
集客には、自分のターゲット層にあった手段を用いることが効果的です。しかし、デジタルかアナログかのどちらか一方に偏りすぎないようにしましょう。
InstagramやTikTokなどのSNSと、新聞の折り込みなどのオールドメディアを組み合わせれば、より多くの人に届きます。また、一度見た媒体とは異なる媒体で目にすることで、店に対するより強い刷り込みが期待できるでしょう。
2.ターゲットを広げすぎない
前述したとおり、デジタルとアナログを組み合わせて多くの人に知らしめることは大切です。しかし、ターゲットは広げすぎないようにしましょう。
例えば、東北で運営している飲食店であれば、観光客向けではない限り四国エリアまでアピールする必要はありません。ウェブ広告の配信エリアを飲食店周辺に限定することで、販促費を抑えるようにしましょう。
3.一時的な集客で終わらせない
割引キャンペーンは、新規顧客の獲得に有効な手段です。しかし、割引時にだけ来店するお客さまもいます。
新規顧客をリピーターにするためには、一時的な集客で終わらせないことがポイントです。やみくもに割引するのではなく、SNSのフォローを割引の条件とするなど、中長期的な視野を持ったキャンペーンを心がけましょう。
飲食店は近年、デリバリーサービスの普及や消費者スタイルの変化などの課題を抱えています。集客力を上げるためには、消費者心理を考えたマーケティングが大切です。
SNS活用やイベント開催は集客力アップにつながります。ウェブ広告やオウンドメディア活用で、新規、既存双方にアピールすることもできます。
テーブルチェックでは予約管理だけではなく、自由自在に詳細な情報を記録できる顧客管理機能も備わっています。また、データを活用することで戦略的なマーケティング施策を講じることも可能です。
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